2025年6月2日(月)原油市場の動向まとめ
~地政学リスクとOPECプラス増産決定が交錯、原油価格は上昇~
2025年6月2日の原油市場は、OPECプラスが7月の増産幅を発表したものの市場予想を下回る内容だったことや、ウクライナによるロシア軍施設への攻撃、米国の対ロシア制裁強化観測といった供給リスクの高まりが背景となり、原油価格は上昇しました。
原油価格の確認
指標 | 価格(終値) | 前日比 | 備考 |
---|---|---|---|
WTI原油先物(7月限) | 62.39ドル | +2.63% | 供給リスク上昇 |
ブレント原油先物 | 65.50ドル | +4.3% | 同上 |
原油価格の変動要因
1:OPECプラスの増産決定(市場予想を下回る理由を含む)
OPECプラスは7月の生産量を日量41万1000バレル増産することで合意しましたが、市場はより大幅な増産を予想していた向きもあり、この内容は「予想を下回った」と受け止められました。
その背景には以下の要因が挙げられます:
- 需給バランスへの慎重姿勢:中国を中心としたアジアの需要低迷を背景に、供給過剰を回避するため増産幅を抑制。
- 市場の織り込み済み:前月・前々月も増産しており、今回の増産は予想範囲内。市場へのサプライズは限定的。
- 加盟国間の協調重視:過去の過剰生産分の補償を求めつつ、段階的な増産で足並みを揃える必要性。
- 米国シェール勢への配慮:過剰な供給で価格を下落させないよう調整。
これにより、OPECプラスは供給過剰懸念を最小化しながら市場安定を図る姿勢を見せたと評価されています。
出典:Bloomberg
2:ウクライナによるロシア軍施設への攻撃
ウクライナ軍がロシアの軍事空港4カ所をドローンで攻撃し、40機以上の戦闘機を破壊。東欧地域の緊張が急激に高まり、供給懸念を引き起こしました。
出典:NTV News
3:米国の対ロシア制裁強化観測
米議会で、ロシア産原油やウランの輸入に最大500%の関税を課す法案が検討されており、供給制約リスクが意識されています。
出典:MINKABU
他市場の関連ニュース
航空業界の収益見通し引き下げ
IATA(国際航空運送協会)は2025年の航空業界の純利益見通しを360億ドルに下方修正。原油高や経済不安が影響しています。
出典:Bloomberg
原油市場の材料整理(2025年6月2日時点)
分類 | 内容 |
---|---|
好材料(支え) | – OPECプラスの慎重な増産決定 – ロシア供給懸念(ウクライナ情勢・制裁リスク) |
悪材料(重し) | – 中国需要の低迷 – 米ドル高 |
今後の注目ポイント
- OPECプラスの次回会合(7月6日予定):さらなる増産の可能性や方針に注目。
- ロシア・ウクライナ情勢:地政学的リスクの高まりが継続的な注目点。
- 米国の制裁動向:ロシア産原油やウランへの制裁が供給不安を増幅する可能性。
総括
本日の原油市場は、OPECプラスの増産決定が市場予想を下回り、供給過剰懸念が後退したこと、そして地政学的リスクの高まりが重なり、上昇基調を示しました。市場は依然として**「供給懸念と需要不安の綱引き」**の状態にあり、新たな材料が相場の転換点となる可能性があります。
引き続き、OPECプラスの動向、ロシア・ウクライナ情勢、米国の制裁強化を注視し、慎重な姿勢で市場を見守る必要があります。
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