2025年5月15日(木)原油市場の動向まとめ
~在庫増と需要懸念で下落、慎重ムード広がる~
2025年5月15日(木)の原油市場は、大幅な下落で取引を終えました。WTI原油(中心限月)は前日比2.52ドル(-3.99%)安の60.63ドル、ブレント原油(7月限)も2.37ドル安の63.72ドルと、いずれも約4%の下落を記録しました。ここ数日間の「方向感に乏しいレンジ相場」から一歩踏み出した形ですが、それが上方向ではなく下方向であった点に市場の警戒感がにじみます。
📈 原油価格の終値確認
指標 | 終値 | 前日比 | 備考 |
---|---|---|---|
WTI原油(中心限月) | $60.63 | -2.52(-3.99%) | 需給悪化懸念で下落 |
ブレント原油(7月限) | $63.72 | -2.37(-3.59%) | 同様の下げ幅 |
出典:株式新聞Web, Investing.com
📉 主な変動要因
■ 米国の原油在庫増加
米エネルギー情報局(EIA)が発表したデータによると、5月10日までの週に米国の原油在庫は予想を上回る増加を記録。商業在庫が過去3か月で最も大きく積み上がったことが明らかになり、市場には供給過剰懸念が再燃しました。
出典:OANDA
■ 米中貿易交渉の不透明感
米中交渉は表面的には「協議継続」の姿勢を保っていますが、90日間の交渉猶予期間内に目立った進展が見られず、需要面への不安を呼んでいます。特に中国側の輸入減速は、原油市場にとって無視できない重石です。
出典:ロイター
■ 米ドル安の進行と限定的な買い支え
米ドル指数は軟調に推移し、ドル建て資産である原油の割安感を助長しました。しかし、在庫増などの悪材料が重くのしかかり、これが価格を支えるには至りませんでした。
出典:OANDA
材料整理:上昇・下落要因
区分 | 要因 | 内容 |
---|---|---|
上昇要因 | 米ドル安 | 原油の割安感による限定的な買い支え |
下落要因 | 米国の原油在庫増加 | 過去最大級の増加幅で供給過剰懸念 |
〃 | 米中交渉の不透明感 | 中国需要の鈍化を懸念 |
〃 | 景気減速懸念(米・中) | 今後の需要に対する慎重見通し |
市場全体の雰囲気:悲観と慎重の交錯
ここ数日は、原油価格が60〜65ドルのレンジ内で推移していましたが、15日は一段安の展開に。特に「米国在庫の予想外の積み増し」は、市場参加者のセンチメントに影響を与え、需給バランス悪化のシグナルと捉えられています。
また、米中をはじめとする世界経済の先行きへの不安も相まって、積極的にポジションを持ちにくい「様子見ムード」がさらに強まった印象です。
今後の注目点
- 来週以降のEIA・API在庫データ:在庫の傾向が明確に反転するかどうか。
- OPEC+の供給動向・声明:需給均衡への調整姿勢が見られるか注目。
- 米中経済指標(GDP・小売など):需要回復の兆しが見えるかどうか。
- 中東・ロシアの地政学リスク:突発的な供給懸念も依然無視できない。
以上が、2025年5月15日(木)の原油市場の動向です。特に「在庫増加」と「中国の需要懸念」が複合的に重なった1日でした。慎重な見通しが広がる中、次の方向感を与える新たな材料が求められています。
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