【2025年4月29日(火) 原油市場の動向まとめ】
原油価格の動向
- WTI原油(6月限):60.73ドル(前日比 -2.13%)
- ブレント原油(7月限):64.44ドル(前日比 -2.16%)
▶ いずれも2週間ぶりの安値を更新。2025年年初来の最安値圏に沈む展開。
原油価格下落の背景
1. 米中貿易摩擦の再燃
米国と中国の間で関税強化措置が応酬され、世界経済の減速懸念が再び高まっています。
これにより、原油需要の先行き不透明感が強まり、売り圧力に拍車がかかりました。
出典:Reuters
2. 米国経済指標の悪化
米国で発表された主要経済指標(耐久財受注・消費者信頼感指数など)が市場予想を下回る結果となり、景気後退リスクが意識されました。
これも原油需要減少懸念を後押しする形に。
出典:Bloomberg
3. イラン核協議の進展
米国とイランの核合意再建交渉が前進し、イラン産原油の供給市場復帰が現実味を帯びています。
供給増加懸念が売り材料となりました。
出典:Bloomberg
4. カザフスタンのOPEC+割当超過問題
カザフスタンがOPEC+の定めた生産割当量を超過して生産を続けていることが、OPEC+内部の結束弱体化懸念を高めています。
長期的には供給過剰リスクを市場が警戒する要因になりつつあります。
出典:Reuters
原油価格の材料整理(2025年4月29日時点)
分類 | 内容 |
---|---|
好材料 | – 中東地域の地政学的リスク(イスラエル・イラン緊張) – OPEC+一部メンバーの協調減産維持姿勢 |
悪材料 | – 米中貿易摩擦激化 – 米国経済指標悪化(需要減退懸念) – イラン核協議進展(供給増リスク) – カザフスタンの生産超過問題(OPEC+弱体化懸念) |
エネルギー市場関連トピック
BP、業績悪化で投資戦略を見直し
英石油大手BPは2025年第1四半期の純利益が前年同期比48%減少し、再生可能エネルギーへの投資方針の見直しに着手。
世界的なエネルギー転換の流れに影響を与える可能性も。
出典:Reuters
スコットランド、唯一の製油所が原油処理終了
グランジマス製油所が原油処理を停止、輸入ターミナルへの転換を進行中。
英国の燃料供給能力に影響を与える可能性があり、局所的な供給懸念材料。
出典:Reuters
今後の注目点
- OPEC+内の摩擦拡大リスク:カザフスタン以外にも割当無視の動きが拡大すれば、市場へのインパクトは無視できない。
- 米中貿易協議の推移:関税合戦の緩和が見込まれるかどうかで需要見通しが左右される。
- イラン産原油の市場復帰ペース:供給増が急速に進むなら、需給バランスへの影響大。
- 米国FRBの金融政策:追加利下げ期待がドル安を誘い、原油価格の下支えとなるか注目。
総括
本日の原油市場は、**供給増懸念(イラン・カザフスタン)と需要減懸念(米中経済鈍化)**が交錯し、
リスクオフムードに飲み込まれる形での下落となった。
一方で、中東リスクや金融政策動向という支援材料も控えており、方向感は依然定まらない。
引き続き、マクロ経済動向とOPEC+内部動向の両睨みでの慎重な市場観察が求められる局面だ。
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